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葛西スペースをつくったわけ。

私は現在岐阜県の大垣市というところに住んでいて、20歳になって進学するまで葛西に住んでいました。今も両親や兄弟も葛西に住んでいて、葛西はわたしの実家のある「ふるさと」です。この「葛西スペース」の建物は、以前飲食店が営業されていたのですが、両親に「なにか別の場所にできないか?」と相談されたのがきっかけで、どんな場所にしようか、と、ずいぶん長い時間をかけて、家族で一緒に考えてきました。

せっかく作るのだから、なるべく良い場所にしたい、失敗をしたくない、と思いながら、世の中のこと、東京のことを考えていました。いまの時代は、とりあえずやってみる、ということが大切だと分かり、カフェや特定のお店ではない、既成の枠にとらわれない「だいたい何でもできる場所」にしようと考えました。作りつけの家具はなるべく廃止し、キッチンの設備や階段までも!移動できるようにしました(設計デザインを担当してくださったBridge8の阿部さんが、私たちの変なリクエストに嫌な顔をせず応じてくださったことに感謝しいています)。

そうと決まれば調査です。母といろいろなお店を調べていくうちに、友人であるデザイナーの北村穣さんが「これ面白いよ」と教えてくれ、出会ったのが、墨田区の「喫茶ランドリー」でした。「どんなひとにも、自由なくつろぎ。」というキャッチコピーで0歳児から高齢者までが集まる私設の公共、人々が能動的に参加しているという、とても面白い場所でした。今は社会や建築物が人と人のあいだを分け隔ててしまうけれど、ひょっとしたちょっと昔まで、当然だった光景かもしれません。

また、またツイッターで(福田幹さん)が「マイパブリックとグランドレベル」という本を紹介されていて、やりたいのはこれだ!と感動していたら、まさに喫茶ランドリーの田中元子さんの著書でした。葛西スペースには常駐できるスタッフがいないので、無人のレンタルスペース&イベントスペースとして運営しながら、いつか喫茶ランドリーのようになりたいと考えるようになりました。

喫茶ランドリー
http://kissalaundry.com/

マイパブリックとグランドレベル
https://www.amazon.co.jp/dp/4794969821

わたしはとても好奇心が旺盛で、アート活動をする主婦だけのグループを作ったり、義母の介護をしたり、小学校で英語を教えたり、iPhoneのアプリを作ったり、有機野菜を作ってみたり、大手の車の会社のサウンドデザインに携わらせていただいたり、企業で女性視点での業務開発のアドバイザーをしたり。いろんな国に行ったり、本当にいろいろなことをする機会にめぐりあいました。

その中で、認知症を発症する前の母が「なんでも良いから働きたい。お金はいらないから、お寺の掃き掃除でも、喫茶店の給仕でもいいからしたい。」と言っていたこと、主婦の方に最近いちばん幸せだったことを尋ねたときに「友達と一緒にお酒を飲みながら食事に行けたこと」と言われたのが、強く心に残っています。どちらも「高齢者でなければ」「子供がいなければ」「独身だったら」または誰かの助けがあったり、環境が整っていたら簡単に実現できることなのに、ひとつの枠にはまった途端、できなくなることが沢山あるのだと気づかされました。でもそれって、ちょっとした仕組みがあったり、視点を変えたり、誰かの少しの手助けがあれば、実現できちゃいますよね。

葛西スペースではそんな枠組みを取り払えたらいいなと思っています。

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